宅建合格講座|民法ワンポイント解説8
2021.6.4
先週(5月23、24日)の宅建合格講座(対面講義)では、主に「不法行為」、「賃貸借契約」について行いました。
「賃貸借契約」については、【借地借家法】の大前提となりますので、重要項目です。
中でも敷金は複合的に出題されます。
そこで今回は、先週、当校の対面講義で行った「敷金」についての解説の一部を紹介していきます。
- 敷金とは
敷金は、将来、賃借人が賃料を滞納する等、賃貸人に対して負うかもしれない債務を担保する為に差し入れるお金です。
敷金返還請求権は、賃借人が明渡しをした時に発生します。なぜなら、契約終了時に敷金を返還してしまったら、賃借人が去った後、壁に穴が開いていたというような場合、敷金によって賠償してもらえなくなる恐れがあるからです。
契約終了時に返還請求権が発生するのではありません。
よって、敷金返還請求権と明渡しは、同時履行の関係に立ちません。
すなわち、賃借人は、「敷金を返してくれないのなら、建物の明渡しをしない!」と言えないのです。
なお、賃借人が、賃料の滞納をした場合に、賃借人の方から、「敷金を3か月分入れているのだから、そこから引いてくれ」と主張する権利もありません。
目的物の譲渡(賃貸人が交替した場合)
◆事例◆
建物の賃借人Qが、家主Pに敷金を交付した。賃貸借契約が終了する前に、Pは、Rに建物を売却し移転登記した。
RとQとの間で契約が終了し、Qは明渡しをした。
そこでQは、Rに敷金返還請求をしたところ、Rは、Pから敷金の引渡しをしてもらっていないから、Pに請求しろと主張する。
認められるか?
図
◆答え◆
認められない。Rは、たとえPから敷金を引き継いでいなくても、Qに返還しなければならない。
解説
敷金返還債務は、自動的に新賃貸人に引き継がれます。
上記事例では、賃貸借契約が終了した時点での賃貸人はRだから、Rが返還しなければなりません。
たとえ旧賃貸人から敷金を引き継いでいなくてもです。
もし、引き継いでいないのにRが返還をしたら、もちろんRはPに同額を請求できます。
賃借権の譲渡(賃借人が交替した場合)
◆事例◆
Pは、Qに自己所有の建物を賃貸した。その際、QはPに敷金を交付した。
その後、Qは、Pの承諾を得て賃借権をRに譲渡した。
図
解説
この場合には、敷金はRには引き継がれません。
RがPに、独自に敷金を交付すればいい問題だからです。
以上、この様な事例は、実際に起こりうる話ですね。よく覚えておきましょう。
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